病院へ留学だ

妙齢の女子たちよ、自分の身体に目を向けるのを忘れてはいけない。そして毎日を機嫌よく生きよう。

その腹は、食べ過ぎではない ー なぜ私に悪性リンパ腫が見つかったか

<本日のテーマ>
腹が張っているからといって、胃腸や婦人科の不具合とは限らない。

毎年健康診断を受けている人でも、身体に隠れている病には、意外と気づかないものだ。

法廷健康診断では顕在化されない病は山ほどあるし、どこ痛いとかダルいとか、自覚症状がないと、日々の暮らしは通常モードで続行してしまう。

これまで健康優良児だった人なら、体内の異変にはさらに気づきにくいかもしれない。自分が健康だと信じていると、ちょっとくらい無理できると思ってしまうし、少し調子が悪いとなると、消化器系か身体の凝りかと思ってしまう。

身に覚えはないだろうか。腹に膨満感や消化不良感があれば、消化薬を飲めばなんとかなると思い込み、背中や肩が痛いようであれば、指圧やストレッチで乗り切ろうとする。

しかしそれらがとんと効かないとなると、話は変わってくる。私がそうだった。

肉体的強者から弱者へ

まずは闘病記の前に、私自身について軽く紹介しておきたい。現在の年齢は40代半ば。新卒で企業に勤めたのち、20代の終わり頃、コンテンツ制作の自営業を始めて10数年になる。内訳はフリーランスで数年、法人にして10年くらい。

コンテンツ制作とは何かというと、記事や広告を作ったり、リアルではイベントやツアーを企画して運営したり。主な仕事は執筆だが、日々、誰かがなにかを楽しむ‟もと”を作りたいと思っていろいろやってきたつもりだ。

コロナ前までは出張が多く、国内外あちこちにに出かけていた。持病はスギ花粉症くらいで、旅行も食べることも大好き。そんな私に悪性リンパ腫という血液のがんが見つかったのが、コロナで移動がパタッとなくなり、肉体的にラクだった2020年を経た、翌年の1月だというのがなんともいえないところである。

この病気で、私は無菌室に入院し、肉体的強者から、一気に弱者の視点を得た。

脳内辞書に「腫瘍」はなかった

気づいたきっかけは些細なことだ。「なんとなく、いつもよりあまり量が食べられなくなっているなぁ」。最初はそんな感覚だった。

どのくらいかというと、「出された料理を全部食べても苦しくない。さらに1~2品は食べられるぞ!」というのが基本だとしたら、全部食べるとちょっと胸につかえるという感じ。少し食べると、腹の上の方がコポコポいう。

「なんだろう。消化力が弱っているのかな」。そう思って食事の前後に大正漢方胃腸薬とか、太田胃散を飲むようにしたが、まったく効かない。

決定的におかしいと思ったのが2021年1月半ば、昼に中華のコース料理を食べたときのこと。昼からそんな量があったわけでもないのに、翌日の晩まで、まったく食欲がわかなかった。これは私にとってはあり得ないことだ。

MRIの画像を見た今ならその理由がわかる。胴体の中に大きく成長したリンパ腫が、内臓を圧迫していたのだ。しかし痛くもかゆくもないから、そんなものが腹で増殖しているとは気づきもしなかった。

人は知っている症状に不具合をあてはめがちだ。医師に‟巨大腫瘍”と書かれるほどの腫瘍があっても、脳内辞書に‟腫瘍”という言葉が書かれていないと、思いつきすらしない。

たしかに腹は膨れていた。しかしじわじわと膨らむと、残念ながらこれもあまり気にならない。夫には「食べ過ぎなんだよ」と言われて、それもそうかなと思ってしまっていた。

では私はどうして腫瘍を見つけたのか。次回は発見のプロセス(触診→エコー検査→MRI検査)についてお話ししたい。